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概要

uchiko_all

料や堆肥が徹底している畑では、土壌のPhが適正値にあるものの、石灰、苦土、カリの間の塩基バランスが崩れ、結抗作用による栄養欠乏症が発生しやすく、肥料流亡を起こしている畑も多数見つかっています。一方、腐植の少ない畑の土は、だんだん固くなって根の伸びにくくなることから、保肥力が低下し、酸性土壌にもなりやすいですね。でも、そんなやせ土に消石灰や苦土石灰を大量にまくと、土はコンクリートで固めたようになるんですよ」と赤ヒゲ先生。最近では逆に、栄養の行き届きすぎた畑も増えはじめ、化学分析による的確な診断が必要となってきている模様。大量生産、そして大量消費の時代にあっては、限られた面積でそれ以上の収益をあげ、生活を守るため、手っ取り早く化学肥料を投入し、農薬をまいた。それが時代的な農業でもあったのだ。ところが自然というものはやっぱり正直で、そのツケが土壌を汚染し、その汚染物質が食物を通して人体に蓄積され、たとえば環境ホルモンというカタチとなって、私たちの未来に突き付けられているのである。環境ホルモンとは、身の回りのいたるところにある化学物質で、それ自体が人間や動物の体内に入って、体内で活動をするホルモン(生体内ホルモン)と同等の働きをする化学物質の総称。「安心・安全」な農業は、いま「安定した収穫」を得るための農業であると同時に、私たちの子孫の生命を守るために必要な定義ともいえよう。環境保全型農業推進会議の立ち上げにあたっては、そういったところからの意識改革や、啓蒙活動も合わせてすすめなければならなかったことだろう。たくましい土は、健康で美味しい作物を育むばかりか、健やかな人と風土を養う「未来へのかけがえのないおくりもの」であるにちがいない。表)施設を含む野菜畑の分析平均値FEELD OF DREAMS ON UCHIKO( )内:基準値下段:分析値土を採取して持ち帰り分析。土壌診断書をつくって、指導する小玉さん。未来へのおくりもの分析値は破線の枠内に納まっていることが理想ですが、実態は過不足が生じやすく、施土法の改善が必要です。このグラフによると酸性度を表示するPHは適正ですが、苦土、石灰、加里が過剰になっていますので養分欠乏症が発生しやすくなっています。55