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概要

uchiko_all

58夏の日、「からり」の売り場にピオーネを並べた川本さんは、そこでもうひとつの大事な仕事を、こなした。レジ裏の事務室に設置されたパソコンで販売用のバーコードシールを作ることである。ちょうど出荷が重なる時間だったので、パソコンの前にはたちまち列ができた。いかにも「さっきまで畑におったんよ」といわんばかりのおいさんやおばさんたちが手際よく入力している。『からり』直売所での販売状況は、家にある情報端末で、1時間毎にどれほど売れたか!?がわかる。これでその日の売れ行きがわかるけん、わしは昼前にデータを見て出荷する量を見極めるんよ」と川本さんはうれしそうに教えてくれた。川本さんの家はこの売り場から、信号のない道をクルマで15分も行った辺りにある。歩けば遥はるか山また山の彼方なのだ。けれどこれなら、生産者それぞれが生活の現場で市場と向き合い、的確な出荷を自分なりの知恵と工夫で管理することができる。「特産物直売所は、不確定な要素の集まりです。毎日の出荷者、品目、数量は変化し、来客者は、季節、曜日、天候などに左右されます。そのため出荷品の可不足が生じます。直売所の販売状況が出荷者にわかれば、販売額の増加と消費者へのサービス向上が図られます。それでこのシステム『ポスシステム』の導入に踏み切ったのです。生産者の方には時事刻々と変化する情報を見て、そのパソコンは農具ポスシステムと出会う